鈴木栄研究室Sakae Suzuki’s Homepage

ビジュアル・ナラティブ研究会(鈴木栄・松崎真日・水戸貴久)の活動

英語・韓国語・日本語を教える3人が外国語を学ぶことについて共同研究をしています。学習者が何を考え、どのような学習動機をもち外国語を学んでいるのか、学習者のビリーフやモチベーションに焦点をあてて、研究方法としてビジュアルから学習者の考えを紐解いていく方法について研究を続けています。
言語文化研究18巻フォーラムでは、以下の概要で論文をまとめました。

<概要>

本稿では,英語・日本語・韓国語を外国語として学習する学習者が言語学習をどのように意味づけているのかを,ビジュアル・データと言葉による記述データにより取り出し,ビジュアル・データと記述データに表現されるものは異なるのか調査した。調査の結果,ビジュアル・データでは,抽象度が高いイメージが描かれる,自分を中心にしたナラティブが描かれる,表情や色調により感情が表現される,一つの現象が表現されるという特徴があるのに対し,文章によるデータでは,具体性がある,社会言説の影響がナラティブに表れる,感情は論理的に説明される,複数の現象が表現されるという特徴が見られた。これらの結果を元に,ビジュアル・データにはどのような可能性があるのか考察し,学習者研究における新たな方法の提案を行った。

2021年度は、フォーラム論文での結果をさらに検証する研究をおこないます。
2021.3.19におこなった話合いの内容は以下になりました。

<話合い>

  • 論理性が出るのは文章(文字)である。
  • 感情がより出るのは(絵)である。形容詞を表現する媒体となる。
  • 文章では出ないものが絵で表現できる。絵は何かを表現する際の媒体である。
  • Zine(コラージュと文字)は、それを媒体として学習者が学習言語で表現する補助となる。

Zineがなく、ただ発表をする場合では発表される言葉が均一化し、個性・自己表現ができないのではないか。(例:自己紹介では、英語であれば、My name is …….. I am from….
I like……… など型にはまった表現になる)

<今回の研究の流れ>前回のフォーラムでの研究を経て

  • 前回の研究結果からさらに追求したい点
    • 文章では社会言説が出た言語があった(英語)。社会言説の影響を受けやすい外国語はあるのか。例として英語は受けやすい言語であるが、社会言説の影響を受けることは学習者にとってよいことなのか。
    • 前回の研究の結論として「ビジュアルと文章により学習者のもつビリーフなど学習者の内面をさらに良く理解することができる」とした。今回は、ビジュアルなものを使うことで学習者の学習言語にどのような影響(プラスの効果)がでるのかを見て見よう。
    • (例:zineを使うイギリスの大学では、英語のスピーチをするための足掛けとしてコラージュがあると有効で英語発話量が増えたと報告している)ビジュアルを使う学習効果について検証してみよう。

    • 前回は、学習者に絵を描いてもらったが、絵そのものは評価しないものの、絵が描けない学習者には、コラージュや写真などの媒体を使い自分を表現する方法も加えてみる。
      (SNS・インスタなど画像データを頻繁に使う世代にはこうしたデータ収集法も効果的であると思われる。)
  • 学習言語による表現を見てみよう。(前回は日本語以外の学習者は説明を母語で記述)
  • 本年度はいろいろな制約もあることから、絵・文章のテーマは各言語担当で決める。
    (なぜそのテーマにしたかという確認は各自おこなう)
  • 前回使用した「研究協力同意書」を使う。
  • 研究課題:①ビジュアル・データと文章によるデータの違いは何か。
    ②前回の調査結果と比較して新しい発見はあるか。
    ③ビジュアルを使用することで学習者の外国語のアウトカムはどのように変化するか(文章だけの時よりも豊かな表現で伝えることができるか)。
  • データ収集方法
    *量を多く獲ることを目的としない。
    クラスを半分に分ける(G1/G2)。
    研究同意書に記入してもらう。
    G1 質問の答えを絵(コラージュ・写真)で表現する。
    G2 質問の答えを文章(学習言語)で表現する。

    数週間後
    G1 同じ質問の答えを文章(学習言語)で表現する。
    G2 同じ質問の答えを絵(コラージュ・写真)で表現する。
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