オンライン学会報告(発表)
Zineは、Magazineに由来し命名された個人制作の冊子です。1930年代にアメリカで生まれたサブカルチャー的なSF同人誌がZineのルーツです。1950年代にはカウンターカルチャーと結びつき、若者の自己表現ツールとしてのムーブメントが起こりました。1980年代にはパンクカルチャー、スケートボードカルチャーなど様々なユースカルチャーと結びつき広がりを見せるようになりました。
Zineを教育に取り入れる試みは、例えば、中学校の総合学習「テーマ研究」(中村、2018)で生徒がテーマを決めてから表現方法(写真や絵画などのポートフォリオ、雑誌のようなもの、日記のようなもの、など)を選び制作をおこなっています。発表会では、それぞれのZineを発表し、参加生徒は「鑑賞」し自己評価をおこないます。ビジュアル表現を使うため、日本では美術の授業で使われることが多いようですが、海外では、Zineを外国語学習の中で、自己表現の方法として使っています。
その例として、イギリスの大学University of the Arts London(UAL)(ロンドン芸術大学)の英語プログラムでおこなわれているEnglish Plus Mediaの授業での取り組を紹介し、Zineを外国語教育の中でどのように利用できるか、その可能性について論じました。
Zineを使うことで、英語で何を伝えたいのか自分の考えをまとめることができたこと、発表をする際の不安が無くなったことなどが報告されました。
以下のZineは、ロンドン芸術大学の留学生が「今の気持ち」について描いたものです。
それぞれの絵を見せながらプレゼンテーションをおこない、絵は評価せず、スピーチをIELTSの規準で評価するそうです。

*このzineでは、テクノロジーに支配されている現代人の恐怖を表現しています。

*このzineでは、トランプ政権下のアメリカとイタリアの関係が悪化しており、船に象徴される交流が沈没しつつある状況を表現しています。

*このzineには、Londonに来た学生の期待と不安が表現されています。